内藤靴店のこと

ギャラリーから、歩いて5分もかからないくらいの場所に、ゆったりと時間が流れているような、お店を見つけました。年季の入った小さなショーウィンドウのガラスは、綺麗に磨かれて沢山の靴が並べられている。
かかとは低め、使い勝手の良さそうな素材、それにオシャレ心もピッタリ揃った靴。その反対側には、小学校で履いていたのに似ている、うわぐつなどが。
きっとここのお客さんは、近くの小学校の学生さんや、年輩のおしゃれな女性かしら、そんな想像が膨らんでいました。
ショーウィンドウのすぐ横にある開き戸をおずおずと開けて、「おはようございます。」と叫ぶと、奥から「はーい」と声が。
出てこられたのは、70代くらいの、
ほほえみ顔の女性でした。
長靴を探していることを話すと、
「男性用しかなくてね〜、サイズは?うーん、ちょっと大きいかしらね、中敷のフェルトを入れたらどうかな?」そう言いながら、長靴とフェルトの中敷を出してくれました。
中敷は、随分と大きいサイズで、あぁ、これは大きすぎるなぁ、と考えていると、「これはね、自分のちょうどいいサイズに切って使うのよ。少しだけ大き目に切って合わせた方が、履いてるうちにちょうどよくなるからね。」と教えてもらい、お借りしたハサミでフェルトを切り、長靴に敷き込んで見ました。そっと足を入れてみると、フェルトがふわふわ温かくて、大きめだった長靴の大きさもぴったりになっている!
カッコつけて、、いつも履かないブーツで歩いていた自分の足が、「これだ!これだ!」と、ホッとしているのがわかりました。
それをきっかけに、色々お話ししながら、天井から渡された棒に、木で出来た型がかっているのを、珍し気に眺めていると、「これ、靴を作る時の木型よ。今はね、仕入れた靴を売ってるけど、おとうさん亡くなるまでは、オーダーメイドの靴屋さんだったの。」と話してくださいました。
他にも、「朝一番に、いいお客さんが来てくれたら、その人が福を持って来てくれるんだよ。」と、教わったり、「実は、90歳を超えているのよ。」とお聞きしてビックリしたり、
この朝は、思いがけず、すてきな玉手箱をもらったようなひとときでした。

誰から、どんな風に買うのか。
買い物って、心が温かくなる嬉しいことだったなぁ。
うっかり忘れていたな、、。

あのお店に掛けられていた、靴の木型に、「あんたも、しっかりやんなよ。」と、背中をポンとたたいてもらったような気がしています。
その後、雪がどんどん降ってきて、
長靴が大活躍でした。
帰りの日、空港に着くまで
ずっと一緒でした。

GUMINO LAMP

旧 ひょうたんランプから、「 生野らんぷ 」で新しくスタートしました。 生まれる野原と書いて「 ぐみの 」と読みます。 熊本県の小さな集落の畑でひょうたんを育て、らんぷをつくっています。